フライフィッシング

《フライ用品のハンドクラフト》

 
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ロッドビルディング

★必要な物★

ブランクロッド、グリップ、リールシート、ワインディングチェック、ガイド(トップガイド、スネークガイド、ストリッピングガイド、フックキーパー)、ラッピング用スレッド、エポキシ系接着剤、ホットボンド(エポキシ接着剤でもOK)、マスキングテープ、コーティング剤(エポキシ系又はウレタン系バーニッシュ)、上の画像は1液性ウレタン系バーニシュ(クラッシックバンブーに良く使われるスパ・バーニシュです、エポキシ系バーニッシュを使用の場合は乾燥用モーター。

★ブランクの購入★

私の場合ブランクの購入はStone River OutfittersBob Marriott's Flyfishing StoreAONS IWATE、等から購入します。前者2社は海外有名ブランドのブランクもあります。

Stone River Outfitters・・・航空郵便小包も扱っており、長さ42Inc以下の商品でしたら航空郵便小包で発送してもらえるので送料も安く済みます、また以前は郵送だと税金も取られないことが多いようですが・・・最近は国策でしょうか?必ず取られます。

Bob Marriott's Flyfishing Store・・・ここの発送は国際宅急便に成りますが品数の多さで群を抜いています。T&Tのバンブーのブランクも有ります。

AONS IWATE・・・此方もビルディングに必要な小物全てあり、特にR.L. Winstonのブランクが手に入るのでお勧めです!

ブランクの長さ★

メーカーによって、ブランクの長さが表示と実際とが違う事が良くあります、表示より短い場合も在りますが、殆どの場合長い様です。しかし一般に売られている量産品でも表示と実際の長さが違う事は良くある事です。(殆ど違って当たり前)また多少の長さの違いは気にする必要も在りませんのでブランクを切り詰める必要は全く在りません。長い間使っているとフェルール部分(繋ぎ)の入り方も変わってくるので・・・気にしても仕方ない??(^_^;)

ちなみに、私が完成品で買ったSAGE 279LLは7’9”の表示が実長7’10”です。先日ブランクで買ったSAGE 282−3SPLは8’2”の表示がブランクの実長8’4’です。

スパイン★

スパインとはブランクの製造課程で必ず出来てしまう、バッドからティップ方向に向かって出来るブランクの堅い面の事を言います。ブランクにはこのスパインと言う曲がり難い面と、スパインから90度ずれた曲がりやすい面が必ずあるのです。

スパインの出し方は、下記画像のようにブランクの上部(ティプ側)を片手で押さえ、バッ側ドをテーブルなどに置、真ん中をもう一方の手で押すと曲がりやすい部分があり、そこがスパインから90度ずれた位置です。また、未使用のブランクのフェルール部分の内側をよく見るとスパイン部分に印が付いているロッドもあります。

★カイドの位置★

ガイドをスパイン上に付けるか?スパインから90度ずらした曲がりやすい部分に付けるかはメーカーに依って違うそうで、どちらに付ける方が正しいと言うことはないようです。一説に依るとアメリカ製ロッドはスパイン上に、日本製ロッドはスパインから90度の位置(曲がりやすい面)に付いている物が多いそうですが?

しかし、ブランクは必ず真っ直ぐと言う事ではなく、中にはブランクが曲がっている場合もありますが此は不良品ではありません、メーカーに依って曲がりの多いメーカー、少ないメーカーが在るようです。この様な時にはガイドの位置をスパインからずらし左右が真っ直ぐに成るように(上へ反り返るように)ガイド位置を決定します。

スパイン上にガイドを付ければそのブランクとしてはファーストアクションのロッドが出来、同じブランクのスパインから90度ずらした位置にガイドを付ければスローなアクションに成ることになります。ただ、スパイン上にガイドを付けるとフルキャストした時のシュート時にロッドが左右にぶれやすいとも言いますが?・・・スパイン上にガイドを付けた方がパワーは出るとも言い?・・・貴方はどちらを選びますか??私はその時々で換えています。(^_^;) 

★スレッド選び★

◎濃い色のスレッドを使う場合。

ブランクと同系色が比較的簡単です、きれに巻く自信があればブランクと違う色でも問題ありませんが、巻いているうちにスレッドとスレッドの間に隙間が空いてしまい、この時”濃い色の違系色”のスレッドですとエポキシを塗ると隙間が案外目立ちます。

◎薄い色のスレッド。

薄い色ですとエポキシを塗ると殆ど透明に成るのでどんな色を使っても失敗は無いようで、スレッドの隙間が空いても目立たいです。従って、無難な選択は”同系色”か”薄い色”です。スレッドの色選び一つで出来上がりにかなり影響あるので慎重に選びましょう。ただし同系色でも濃い色を使う場合はガイドの足の部分をキッチリ巻いておかないと、足の部分だけ金属色が見えて、隙間が目立ちます。

巻き幅も出来るだけ少なくしましょう、無駄に幅広く巻くと(ガイドの足以外の部分)アクションを損なうと言います。

ガイドの仮止め

◎トップガイド

トップガイドはホットボンドなどで接着します、エポキシ系接着剤でもOKですが外す時のことを考えるとホットボンド(ホットグルー)の方が簡単に外せて良いと思います。

◎スネークガイド、ストリッピングガイド&フックキーパー

ガイドはロッドメーカー所定の位置(普通ブランクを買うとチャートが付いてくる,海外からロッドを購入する時は注文時チャートを請求しないと付いてこない事があります)にマスキングテープで借り止めします(下記画像参照)。この時セロハンテープは接着力が強すぎて剥がす時ガイドが動いてしまうのでNGです。

★スレッドの止め方★

仮止めしたガイドをスレッドで止めていきます。巻き初めはフライを作るときと同じようにし、在る程度巻き込んだら切断します。スレッドの最後は下記画像のように、途中でU字にした釣り糸などを挟み込んでスレッドの下に巻き込んで行き、最後にUの字の輪の中に巻き終わったスレッドの端を通し、Uの字の釣り糸を引き、巻き終わったスレッドを今巻いたスレッドの下に引き込みます。

スレッドは「ガイドの付け根ー>足の先端ー>ブランク部分」の方向に巻いた方が簡単に巻けますが、ガイドの足の先端とブランクの間に隙間が空きやすく綺麗に出来にくいと思います。巻くのは難しくなりますが「ブランク部分ー>足の先端ー>ガイドの付け根」へ巻いていった方が隙間が空かず綺麗に巻けると思います。

◎飾り巻き

よくロッドの一部に飾りの為細くにスレッドを巻く事がありますが、(下記画像ゴールドの部分)此を止める場合は上記の方法では不可能です。飾り巻きをを止めるには瞬間接着剤をほんの少し付けて止めます。この時接着剤が多すぎるとブランクに流れ出てしまいますから注して下さい、ブランクに付いた瞬間接着剤は落ちないと思います。私の場合容器から直に付けず、接着剤を楊枝の先に付け、楊枝からスレッドに付けます。

★スレッドの切断★

スレッドを切る時は、強く引いて出来るだけ根元から切断し、切断後に切り口が表面に出ない様にします。強く引くと巻いたスレッドの一番外側が内側へ入ってくぼみが出来てしまいますが、此れを爪で元に戻す事でスレッドの切り口も、巻いたスレッドの中に隠れます。

ラッピングが終わったら最後にライターでスレッド部分をあぶりスレッドの毛羽立ちを焼いてしまうと綺麗に上がります。

グリップ

グリップは棒状のヤスリで中央の穴をブランクの太さに合わせます。間違えてグリップを削りすぎて穴が大きく成ってしまった場合にはマスキングテープ等をブランクに巻いて太さを合わせてエポキシ系接着剤で接着します。グリップに穴を空ける時は下(リールシートの方)から空けます。上からグリップに穴を空けるとロッドが細い上部の穴が大きくなります。また接着にはエポキシ系接着剤をラッカーシンナーで薄め柔らかくした方がロッドとグリップが馴染みしっかりと接着できます。

リールシート

リールシートの穴は普通ブランクの太さより大きいですから、ブランクにはマスキングテープや凧糸を巻いて穴の大きさに合わせます。この事により後からリールシートがはずしやすくなります。マスキングテープを巻かず全て接着剤で止めてしまうとリールシートのセンターにロッドを持って行きにくいのと同時に、後からリールシートが外し難くなり修理などし難いと思います。リールシートのスぺーサー

◎スぺーサー(リールシートの木部)

スペーサーはそのままでもかまいませんが、ウレタン系コーティング剤を薄目にサッと塗ると自然な輝きが出て綺麗です。この作業には刷毛は使わず”パンティーストッキング”など糸くずが出にくい素材にウレタン系コーティング剤を染みこませスペーサーを拭くようにこすると綺麗に仕上がります。

★ロゴなどに印刷★

達筆の方は”水溶性”のマジックの様な物で下地に#1000位のサンドペーパーデを掛けてから書けば問題在りません。しかし世の中達筆の方ばかりでは在りません・・・私は下記のように書いています。

  • 最近はA-oneから”転写シール”と言う物が販売されており、此方の方が良いと思います。 以下はMD用透明ラベルシートの使用方法ですが、参考の為に残しておきます。
  1. MD等のプリンター用透明ラベルシートにプリンターで印刷、当然透明なシールに印刷するのですから”白”で印刷する事は出来ません濃い色だけです。しかし、好きなフォントが選べてなかなか良い物が出来ると思います。
  2. 裏面のノリをベンジン(除光液)などで綺麗に拭き取り、程良い型に切り取る。拭き取らずにそのまま張るとコーティング時にシンナー成分で剥がれてしまいます。
  3. 「2」で出来たシールをエポキシ系接着剤でロッドに貼り付けセロハンテープで強く押さえる。強く押さえる事で、接着剤がシール全面に行き渡り、厚みも無くなる。
  4. 接着剤が乾燥したら上からバーニッシュを施し完成。

 

★コーティング★

◎エポキシ系

私の場合、以前はフレックスコートを、1回目、2回目(エポキシ:うすめ液)1:2、3回目1:0.5〜1で塗っていました。1回目、2回目は筆で普通に塗れば大丈夫ですが3回目はワインディングモーターを使いロッドを回転させながら乾燥させます。一般的にはこの様に薄めて塗ることを進めるようですが、手間を掛けるだけ失敗の可能性も増えますし”薄めて塗る”=”綺麗に出来る”では無いように思います。

複数回エポキシをコーティングする場合は24時間程度間隔を空けてコーティングします。

最近はフレックスコート(エポキシ塗料の商品名)の”ライト”と言う商品があり、これは初めから薄目に出来ており薄めて使う必要はないと言う事ですが。私はほんの少し薄めて使っています、一回目”エポキシ対薄め液”を5:2程度、2回目はほんの気持ち薄め液を入れて合計2回で終わりにします。2回塗りでこの薄目方ですと仕上がりで一部スレッドの糸目が出てしまう事もありますが気になる程ではありませんし、薄く綺麗に出来るので殆ど最近はこの方法で仕上げています。また、エポキシをコーティングする場合一度の液量が少ないと表面が綺麗に出来ず在る程度の液量を塗らないとダメです、しかし多すぎるとタルのようになります。
ちなみい、上の”フレックスコート”より此方の”フレックスコート・ライト”の方がお勧めです。

ワインディング時のスレッドの切り口が残り出っ張りが出来たり、ゴミ等で出っ張りが出来た場合は2回目の塗装が乾燥したら出っ張った部分だけをカッターなどで平らにします。しかし、膨らみを切った時に出っ張ったエポキシだけが切れて、中に入っているスレッドだけ元のまま残ってしまう事があります、この時は瞬間接着剤を出っ張ったスレッドだけにほんの少し付け、固まってから良く切れるカッターなどで切ればスレッドを残さず切れます。また、エポキシ系バーニッシュは乾燥に時間が掛かるので、出来るだけ人の出入りの少ない部屋で乾燥させた方が良いと思います、乾燥までに余り人が出入りすると、チリや糸くず等が付着してしまいます。

エポキシが薄すぎる場合、強度がない、艶が出ない等の弊害が在りますので注意しましょう。極端に薄いとスレッドに透明感が出ない事もあります。万が一仕上げの段階で曇りなどが出た時は再度コーティングしてもかまいませんが、厚塗りが嫌な方は、ウレタン系バーニッシュを最後に塗るか、ブランクにマスキングうをして車用のコンパウンドなどで磨いても綺麗になります。しかしコンパウンドの使用は非常時の間に合わせ的方法ですから余り綺麗でもありませんし、お勧めもしません。私は再度のコーティングが面倒で仕上がりを余り気にしない時だけコンパウンドを使用します。

エポキシが濃すぎる場合、スレッドに透明にならい無い、コーティング後タル型に成ってしまう。

コーティングが在る程度タル型に成るのは我慢して、弊害なく、一番簡単なのはエポキシ(フレックスコート)を薄めずに一回で厚塗りしてしまえば良いです、マスプロ・ロッドの様にボッテリ塗るのは綺麗ではありませんが製作は簡単ですし手間を掛けないだけ失敗の可能性も少ないと思います。私は、フレックスコート・ライトを薄めずに2〜3度塗りしていますが・・・手間を掛けずにビルディルングをすのでしたら普通のフレックスコートの”一回塗り”もお勧めします。

エポキシを濃いまま塗る時や誤って余計に付けてしまいラッピング部分が”タル状”に成った場合は”シールの台紙”などをラッピングの幅程度に長細く切って、ツルツルの面でそっと撫でて平らにならすと同時に余計なエポキシをそぎ取ると綺麗になります。

以前、上州屋で「TOHO」と言う製品を買った事があるのですが、これは乾燥が早すぎて塗っている内に粘度増して来てしまいNGでした。またこの製品は湿度による白濁が起こりやすいように感じました。

注意、”エポキシ洗浄液”と言う洗浄専用液も売られていますが、此を使う場合ほんの少しでも筆に付いていると、その後のコーティングでラエポキシの表面が白濁してしまうようです、”エポキシ洗浄液”はロッド完成後の筆をしまう時には良いと思います。コーティング途中で筆を洗う時には”エポキシ薄め液”を使う事をお勧めします。

◎ウレタン系

ウレタン系バーニッシュの利点はモーターを使ずにロッドを回転させずに乾燥させても綺麗に出来ることとウレタン系は1液性のためエポキシ系のような混ぜ合わす手間がかからず便利です。また乾燥が早いので2回目以降のコーティングは6時間毎程度で可能です。完成ロッドの実用的な乾燥までは48時間も見れば十分ですが、完全乾燥までは6ヶ月かかると言いいます。ちなみに、1〜2ヶ月してもロッドを出すと、ほのかにバーニッシュの良い?臭いがします。

欠点は乾燥が早いためにスレッドが綺麗に透けないことがある。(1度目だけ多少多めに塗れば大丈夫) 濃い目の液を厚塗りをすると表面だけ先に乾いて”しわ”になることがある。市販ロッドのメーカーロゴの部分のような厚塗りが難しい。スレッドの透け具合は一度目にエポキシを塗り、2〜3度目にウレタンを塗ればスレッドも綺麗に透けてモータを使わず綺麗に出来ると言います。私は初めからウレタンを塗ってしまいますが問題なく綺麗に透けます。

ちなみに、ウレタン系バーニッシュを薄める場合は「合成樹脂塗料用シンナー(ペイント薄め液)」で薄めます。

ウレタン系バーニッシュは紫外線で”黄ばむ”物が多いのでブランクカラーに依ってはお勧め出来ません、バンブーやラミグラスの様な物は逆に味が出て良いと思います。

◎その他注意点

一度ウレタン系塗料(バーニッシュ)を使った筆で(たとえ乾燥しても)エポキシ系バーニッシュを使うと表面が曇ってしまう事がありますので、筆を完全に使い分けるべきです。

塗装中寒い部屋で息が掛かると表面が曇ってしまいますので暖かい部屋で作業する事をお勧めします。(温かい部屋=「普通の暖かさ」と言う意味です)

また部屋が寒いとエポキシが堅く成り綺麗に上がりません、ゴミなどがついた時もエポキシが堅いと(部屋が寒いと)ゴミを取った後平らに成りにくいです。室温でヘコミや気泡などが直らない時にはライターorドライヤーなどで暖めて平らにします。(火が着かない様に注意)

モーターを使いエポキシでコーティングするか?ウレタンで簡単にコーティングするか?迷うところですが、出来上がりの美しさはやはり”モーター+エポキシ”の方が綺麗だと思います、しかし”目を皿のようにして比べれば綺麗だ”という程度の違いでウレタンでも十分綺麗に出来ます。私は最近取り扱いの簡単なウレタンを使用しています。塗装面の輝きはウレタンの方が強いように感じます。

ラッピングに失敗した場合、やり直しても綺麗に出来ますので、乾いてからためらわずエポキシ&スレッドをはぎ取りやり直しましょう!(取り方はリメイクのページにあります)私は何度もやると集中力が散漫になるので在る程度ロッドを使った後、気が向いた時に直すようにしています。(^_^;)

お勧め書籍。ビルディングの本は洋書が殆どで、以下は数少ない日本語の書籍です。